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教育によって、悪人を善人に変え、犯罪を減らすことはできるか?

人類の歴史では、いつの時代にも悪人がはびこり、犯罪を犯してきました。こうした犯罪には、法律により罰するという方法が取られてきましたが、近代になって、犯罪者を更生させるための教育がよく行われるようになりました。とりわけ、若年者のためには、日本では児童自立支援施設(旧教護院)や少年院があり、更生のための教育が行われています。

しかし、現実は厳しく、今日、下記の様な報道がありました。

犯罪白書:昨年の再犯者率、最悪の43% 再非行少年率も

 法務省は11日、11年版の犯罪白書を公表した。昨年の「再犯者率」(42・7%)と「再非行少年率」(31・5%)はいずれも過去最悪を記録。再犯防止策を積極的に推進する必要性が改めて浮き彫りになった。【伊藤一郎】

 白書によると、10年の刑法犯の検挙人数32万2620人のうち、再犯者は13万7614人。再犯者率は、同省が算出を始めた89年以降で最も悪い数値だった。少年に限っても10年の検挙人数8万5846人のうち、再非行少年は2万7050人に上り、再非行少年率は同じく同省が算出を開始した75年以降で最悪となった。

 また、刑務所に入るのが2回目以上となる「再入者」は昨年1年間で、1万5205人。初めて刑務所に入る「初入者」を4年連続で上回り、入所者全体の56・2%を占めた。再入者のうち約2割が5度目以上の入所者で、深刻な累犯受刑者の実態を示した。

 法務省は昨年2月、「再犯防止対策推進会議」を設けた。同8月、刑務所の出所者に対する就労支援や定住先の確保▽受刑者に対する職業訓練や技術指導の充実▽特に再犯を起こしやすい薬物・性犯罪の受刑者に対する効果的な改善プログラムや指導の実施--など対応策をまとめている。
 ◇少年院経験者、20代前半で4割犯罪

 法務省は今回の犯罪白書で、少年院を出た人の犯罪状況を初めて追跡調査した。調査の結果、約4割が20代前半で罰金刑以上の犯罪を起こしていた実態が浮かび上がった。

 04年1~3月に全国53カ所の少年院を18~19歳で出た644人(男性606人、女性38人・18歳342人、19歳302人)の「その後」を調査し、25歳の誕生日の前日までに刑が確定したケースを分析した。

 調査結果によると、出院者全体の38・5%に当たる248人が犯罪を起こし、有罪判決が確定。うち15・1%が実刑▽15・2%が執行猶予▽8・2%が罰金だった。25歳になるまでに複数回、罰金刑以上が確定していた人も14・5%いた。

 また、犯罪を起こした時期については、少年院を出てから(または仮退院後の保護観察終了から)1年以内に犯行に及んでいたケースが過半数を占めていた。また、出院後2年半以内では8割に達し、白書は「成人後の数年間における犯罪防止対策が特に重要」と指摘している。

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 ■ことば
 ◇再犯者率

 14歳以上の刑法犯(自動車運転過失致死傷罪を除く)の1年間の検挙人数に占める再犯者の割合。「殺人を犯して出所した人」など特定のグループ(母集団)を設定し、一定期間内にどの程度の人が再犯を起こしたかを算出する「再犯率」とは異なる。「再非行少年率」は、犯行時14~19歳の刑法犯の1年間の検挙人数のうち、前にも犯罪を起こしたり補導を受けたことがある少年の割合を示す。

毎日新聞 2011年11月11日 東京夕刊


引用元: 毎日jp

腐敗しきった警察の発表する統計データなので、信頼性がかなり低いのが残念ですが、犯罪の統計はどうしても警察の発表する統計データしかないため、何か裏があるのではないかと疑いながら、見るしかありません。

毎日新聞は、再犯者率が再犯率とは異なることを、最後の「ことば」で説明していて、親切な気がします。つまり、再犯者率が43%というのは、再犯率が43%と言う意味ではないと言うことです。少年院を出た人の再犯率は38.5%です。注意しないといけないのは、警察が発表したデータですから、数字自体とその変動については怪しいということです。

しかし、犯罪者の再犯率が高いと言うことは間違いないと思います。どうして犯罪者の再犯率はこうも高いのでしょうか?実は、科学が進歩したおかげで、大方、原因が分かっています。犯罪者になる人というのは、そういう遺伝子を持って生まれて、そういう育ち方をしてしまったのです。

犯罪者の遺伝子というのは、悪い遺伝子であるかのように思われがちですが、そうでもないのです。この世の中に一定の割合で犯罪者の遺伝子が存在すると言うことは、それが生存と繁殖に寄与しているからです。しかし、犯罪は、法律上は悪ですから、法治国家にあっては、悪い遺伝子となります。法律がなければ、犯罪ではないし、悪い遺伝子ではないのです。

果たして、教育は、その犯罪の遺伝子を乗り越えて、悪人を善人に変え、犯罪を撲滅することができるでしょうか?結論から言うと、絶対に無理です。教育などの環境因子が遺伝因子を凌駕して、犯罪の可能性をゼロにするというのは、夢の話でしかありません。いくらかの効果は期待できると思いますが、ほとんど焼け石に水というのが、現実だと思います。その現実を反映しているのが、上記の報道なのです。

では、犯罪者ではない私たちはどうしたらいいのでしょうか?まず、犯罪に巻き込まれたくなければ、犯罪者に近寄らないことです。犯罪者がたくさん住んでいたり、よく出没する場所には、善良な人はいない方がいいです。話し合えば、通じるなどと思わない方がいいです。そんな事ぐらいで解決するなら、矯正教育を受けた犯罪者は、すぐにみんな善人になっています。心の仕組みが根本的に違うと言うことに気がついてほしいと思います。

本当を言うと、犯罪者だけどこかの無人島に集めて、そこから出られないようにしてしまうのが一番いいと思います。しかし、そういうことはできないような社会を私たちは作ってしまっています。

あるいは、代替物を与えて、満足させるという方法もあります。性犯罪なら、性欲を満足させるような映像でもある程度効果が期待できると思います。しかし、それぐらいでは満足できずに、犯罪に走る人は、男性なら女性ホルモンを服用させるしかないでしょう。実際、映像で満足する人は、性犯罪を起こす可能性は低いですから、この話の対象外でしょう。

窃盗犯には、お金のない社会に住んでもらうという方法ぐらいしかないかもしれません。精神障害の治療に使うトークンと言うお金の代替物を利用する方法がいいかもしれません。たくさん盗み取っても、あまり被害は出ない様にトークンに制限を設けておけばいいかもしれません。

しかし、盗んだら、元の持ち主が分からないような現在の貨幣制度を廃止し、盗むこと自体が不可能なシステムを考える方が賢い方法だと思います。履歴が残るような貨幣システムが考案されれば、少なくともお金の窃盗は激減するでしょう。

現実的に不可能な事をさらに並べ立てると、犯罪者を産んでいるのは、女性です。女性が犯罪者の子供を産まないようにすれば、犯罪は減っていくと思われます。しかし、犯罪の遺伝子は、人類に広く分布していると思いますし、女性が理性的に考えて、妊娠、出産をしているというわけでもないので、ほぼ不可能と言っていいでしょう。女性の遺伝的性質から考えても、犯罪者は淘汰されそうにありません。

犯罪者の更生は、もしそれが可能ならば、ぜひ行うべきですが、現実には、多くの場合、不可能に近いと言うことを念頭に置くべきだと思います。更生が不可能ならば、それに対応する方策をみんなで考えて行かなくてはいけません。そうでなければ、危険を減らすことはできません。これが、当面、犯罪についての結論と言えるのではないかと思います。

テーマ : 文明・文化&思想
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近親相姦漫画が禁止される本当の理由

『あきそら』と言う近親相姦の描写がある漫画が消されようとしています。これは東京都青少年健全育成条例の改正の結果ではないかと思われます。しかし、近親相姦を描く作品が有害と言うことはあり得ないので、本当はおかしなことです。

まず、近親相姦自体が有害かどうかという点ですが、これは前にも書きましたが、ほとんど問題はありません。遺伝的な障害が起きやすいことは起きやすいのですが、実際にはほとんどの場合、遺伝的な問題が起きることがありません。人類は、現生人類発生の25万年以上前から近親相姦を行いながら、世界に広がったと考えられますので、今更心配するほどのことではありません。

また、近親相姦を描く漫画などが実際に子供に悪い影響を与えたという報告も全くありません。近親相姦を描く作品は、太古の昔から今までに小説でもたくさん出ていますし、かなり昔から漫画やアニメなどでもたくさん出ていますが、悪影響があったという報告は全くありません。従って、全く害はないと考えていいと思います。

それにもかかわらず、近親相姦を描く漫画が規制されようとしているのは、おかしな話です。これは、キリスト教原理主義者による宗教的な圧力だと見てよいでしょう。キリスト教原理主義では、「神は近親相姦を禁じている」と考えられているのです。

言うまでもなく、神などと言うものは絶対に存在しませんから、これは単なる宗教的な妄想に過ぎません。近親相姦を嫌う人は多いので、そう言う人の心につけ込んだ教義だと思われます。宗教というのは、人の心につけ込んで、人の心を支配しようとするものなので注意が必要です。

キリスト教徒でなくても、近親相姦を嫌う人は多いため、「近親相姦の漫画は子供の教育によくない」と言う妄想には、一般の人もはまりやすいと考えられます。近親相姦漫画が規制されようとしているのは、キリスト教原理主義者に一般の人がつけ込まれた結果と言えるでしょう。宗教的な妄想からは、早く目を覚ました方が健全だと思います。


関連ページ:
近親相姦と漫画

テーマ : 聖書・キリスト教
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キリスト教と科学

世界の宗教で最も勢力が大きいのは、キリスト教とイスラム教です。先進国のほとんどはキリスト教国ですから、キリスト教が最も影響力が強い宗教だと言えるでしょう。キリスト教が勢力を伸ばした原因はいくつかあるでしょうが、内容がわかりやすいことや、人の心になじみやすいことが挙げられると思います。しかし、これほどまでに勢力を伸ばした宗教ですが、その歴史を見ると、決してほめられたものではありません。

他の宗教に対しては攻撃的で、他の宗教に対する弾圧は枚挙にいとまがありません。過去に世界中で他宗教の寺院を破壊しまくっています。また、聖書に出てこないという理由で、アメリカ・インディアンを大量に虐殺しています。宗教的な理由で人殺しをするのは、お構いなしで、魔女狩りにより何十万人、何百万人もの罪のない人が殺されています。

これほど悪事を重ねていると、他にどれだけよいことをしていても、全部帳消しにせざるを得ないでしょう。一人の人の命は、どんなものよりも大切です。無数の人を殺したとなると、他の人類全員を幸福にしていても、悪い宗教と言うことになります。

近年になり、科学の発達で宗教の必要性が著しく減少し、キリスト教徒の数も実質的には減少しました。しかし、それでも未だに社会に悪い影響を及ぼしています。

例えば、キリスト教徒の中には、未だに、進化論は間違っていると主張する人たちがいます。普通の人間からすると、どう考えても頭がおかしいとしか言いようがありません。

信教の自由は、私たちの国では保証されていますから、人がどんな宗教を信じようと自由です。しかし、子供にキリスト教を信仰させるのは、子供にとって害が多すぎます。実際、学校で勉強する上で障害を起こす原因となっている唯一の本は、キリスト教の聖書です。有害図書というものを指定するなら、真っ先に指定しなければいけないのは、キリスト教の聖書です。

なぜキリスト教の聖書が勉強の邪魔になっているのかという理由は、はっきりしています。キリスト教の聖書に書かれている内容と科学的な事実が矛盾しているからです。キリスト教の聖書は、キリスト教の僧侶などによって、その内容が正しいと教えられます。そのため、キリスト教を信じる子供は、学校で学ぶ科学などが自分の信仰の内容と違っていると、拒絶してしまいます。そして、科学的事実を学ぶことを拒絶したり、果てには、学校を退学したりしています。これほどの害を与える本は他にはありませんが、なぜこれほどしっかりした害が証明されているのに有害図書の指定を受けないのか不思議です。

キリスト教を禁止するのは間違っていますが、この様な害がある以上、信教の自由には一定の制限が加えられるべきです。例えば、キリスト教の聖書には、「この本に書かれていることはフィクションであり、現実の事実とは異なります。」等の但し書きが表紙など、目立つところに書き加えられるべきです。また、キリスト教の聖書の内容を事実だと未成年者に教えることは、法律により禁止されるべきです。

キリスト教のもう一つの害は、非キリスト教的文化に対する弾圧です。最近では、日本のアニメや漫画に存在する性的な表現や、18歳未満の女優さんやモデルさんが性的な特徴を出して撮影された映像作品を禁止しようと画策しています。表立ってキリスト教の教義に反するからとは決して言わないので、わからないかもしれませんが、背後にいるのはキリスト教徒です。

18歳未満の人たちを性的に表現したものを排除しようとする理由は、それによって実際に害がもたらされているからではありません。そのようなデータは全く存在しませんし、実際に実験してみても、無害であることが証明されています。あくまで、キリスト教の教義に反するので、そう言うものをこの世から消し去りたいからなのです。

そんなことをして、キリスト教徒にとって何の意味があるのか不思議に思うかもしれません。しかし、キリスト教徒の唯一の動機は、死んだときに天国に行くことです。実際には、神様も天国も存在しませんが、キリスト教徒は妄想により神様や天国が存在すると信じているので、それが動機として成り立っているのです。

また、キリスト教の教義を社会に押しつけて、教会の権力を強化するということも、キリスト教徒にとって重要な動機になっています。もちろん、「教会の権力を強化したいから」ということは、キリスト教徒の間でもおおっぴらには言いません。第三者から見れば、詰まるところ、教会の権力を強化したいということになるということです。キリスト教徒の視線で言えば、「神様の意志に沿う形に社会を改善しようとしている」ということになります。もちろん、そうすると天国に行けると妄想しているからです。

キリスト教徒が文化的な弾圧行為を行っている対象は、別に、アニメや漫画、18歳未満の性的な趣向を持った映像作品などだけではありません。例えば、辞書の中にキリスト教の教義に反する単語があると、出版社を脅して、その単語を削除させるという行為を行っています。最近では、世界的な教育出版社である米国のピアソン・エデュケーション社(ロンドンに本部を置くピアソン PLCの教育出版部門)の辞書がこの実例になります。

これは教育上非常に悪いことです。実際に使われている言葉は、すべて辞書に掲載されるべきなのです。そうでなければ、子供は本が読めません。教師は、辞書から削除された言葉を一つ一つ説明しなくてはならなくなっています。本来、辞書に載っているべき単語をわざわざプリントに刷って、子供達に配って教えなくてはならなくなっているのです。これは貴重な授業時間や授業の準備時間の浪費になっていて、この様な単語を辞書から削除することは、教育上非常に有害です。

その他、妊娠中絶を禁止しようとしているのも、キリスト教の仕業です。米国のある州では、最近、妊娠中絶が法律により禁止され、州民が非常に困ったという事例があります。州民の反対により、数ヶ月後にやっとこの法律が無効になりましたが、その間、妊娠中絶ができず、強姦されて妊娠してしまった人たちなどが大変な目に遭いました。

この様な馬鹿げた法律が米国の州議会を通過するというのは、政治家の判断力の低さを露呈しています。日本でもこの点は同じでしょう。私たち日本人は、この様な馬鹿げた法律が通らないように、目を光らせ、積極的に反対していかないといけません。非科学的な妄想を宗旨とするキリスト教が存在する限り、いつまでもこうした危機は続きます。気を緩めずに、監視し、反対していく必要があります。

なお、JAPSでは、この様なキリスト教によるアニメ・漫画・ゲームへの弾圧を阻止するためにビラの配布を計画しています。ビラの配布は、社会のみなさんのカンパにより行われます。キリスト教による文化の弾圧を阻止したい人は、ぜひカンパしてください。

アニメ・漫画等を守るためのカンパはこちら: http://www.japsnet.org/


注: すべてのキリスト教徒が科学的な事実を拒否しているわけではありません。キリスト教の聖書や教義が正しく、科学的な事実が間違っていると主張しているのは、一部のキリスト教徒です。多くの場合、そのようなキリスト教徒は、第三者からキリスト教原理主義者と呼ばれています。なお、自らキリスト教原理主義者と名乗ることはありません。


関連ページ: 「マンガ規制条例可決」で表現を殺さないために (保坂展人のどこどこ日記)

テーマ : 聖書・キリスト教
ジャンル : 学問・文化・芸術

学力は知能と教育方法で決まる

学校の成績が悪い子供はよく親や教師やその他、いろいろな人から「努力が足りない」とか、「勉強しない」などと非難を浴びます。これにより、勉強が嫌になったり、非行に走る子供は少なくありません。

しかし、多くの場合、学力の低い子供は、努力が足りないとか、勉強をしないために、学力が低いわけではありません。また、ほとんどの場合、学力の高い子供は、よく努力し、よく勉強するために、学力が高いわけでもありません。従って、学力の低い子供に対して、「努力が足りない」とか「勉強をしない」と言うのは、多くの場合、理不尽(りふじん)な非難となります。この様な場合、子供はひどく傷ついてしまうので、非行に走ってしまっても当然と言えるでしょう。

学力を決める最大の要因は、昔から知能であることがわかっています。その知能は、大体、遺伝で決まることもわかっています。ただ、昔は知能が遺伝で決まる割合は80%と言われていたのが、最近30年~35年ぐらいの研究により、50%が遺伝で決まるという様に変わっています。

50%遺伝で決まるというのは大したことではないように思われるかもしれませんが、心理学で扱う事象で、50%も結果を決定する様な因子が見つかることはほとんどありません。測定方法の限界により、最も信頼性の高い測定方法が存在し、かつ、それを用いたとしても、普通、80%ぐらいが限界になるためです。つまり、80%も結果を決める因子が見つかったら、それは100%決定しているのとほぼ同じことなのです。だから、50%決定するというのは、「他に因子が絡んでいても、大したことではなく、この50%決定する因子が非常に重要」と言うことになります。この様なことから、学力は、大体、遺伝で決まってしまうということになるのです。

「でも、本人がものすごく努力すれば、乗り越えられるのではないでしょうか?」と考える方はいると思います。しかし、このデータが示唆することは、「努力では乗り越えられない」ということを意味しているのです。実際に知能の差により学習の進歩の度合いがどう違ってくるかを実験し、測定すると、あまりにも差が大きすぎて、到底、追いつくことは不可能だということがわかります。わかりやすく言えば、知能指数で20以上差があったら、毎日24時間勉強しても、一日1時間しか勉強しない秀才に追いつくことはできません。知能指数120以下の平均的な子供やちょっと頭のよい子供は、すべての時間を犠牲にして勉強したとしても、少し勉強しているだけの知能指数140以上の秀才には追いつけません。

親や教師の側でこういうことがわかっていないと、学力の低い子供を不当に非難することになり、子供を確実に勉強嫌いに追いやり、下手をすると非行に走らせます。しかし、親や教師は、学力の低い子供を「だめ人間」の様に扱ってはいけません。なぜなら、それはあくまで学校教育での話であり、教育方法が異なれば、当てはまらないからです。

学校で行われている教育は、多かれ少なかれ、似たようなものです。これは塾でも同じです。よく親は、子供の進学先や塾を選ぶ際に、いろいろ比較検討しますが、専門家の目で見ると、どこの学校でも、どこの塾でも、教育方法や教育効果に大した差はありません。差があるように見えるのは、そこの生徒の知能指数によるものであり、教育方法の違いによるものではありません。

全く異なった教育方法を用いた場合にどれほど効果に差異が出るかは興味深いところですが、あいにくそのような実験ができる学校は存在しないため、あまりはっきりしたことはわかりません。しかし、私が過去20年以上に渡り実験してきたところでは、著しく大きな差が生じることがわかっています。

この様なことを考えると、なおさら低学力の子供を非難することは間違っているということがわかると思います。学校教育や塾での教育がどこでも似たり寄ったりであるために、一部の生徒では高い効果が出て、それ以外の生徒ではあまり効果が出ていないと言うのが本当の状況とも言えるからです。

親や教師の考えなくてはいけないことは、多くの子供に効果のない教育を大量に行うと言うことではなく、教育の根本を見直し、全く別の教育方法を考えることです。また、よく見かけるようなテスト以外にも、子供の学力を評価する手段はいろいろ考えることが可能です。子供の能力を十分に伸ばそうとするなら、そう言う方向でいろいろ模索して頂く必要があると思います。

テーマ : 教育
ジャンル : 学校・教育

近親相姦と漫画

「漫画などの架空の創作物には近親相姦を描いたものがあり、不健全なので、これを子供から遠ざけなくてはいけない」とする主張があります。今回は、これについて学問的な見解をまとめたいと思います。

フィクションの世界における近親相姦は、新しいものではありません。古くは紀元前5世紀のソフォクレスの『オイディプス王』にまでさかのぼります。この物語は、「エディプス・コンプレックス」という心理学用語の語源になっていることでも有名です。以来、シェークスピアの『ハムレット』やミルトンの『失楽園』などたくさん例があります。

これらの作品は、大昔から高校や大学で学ぶことになっている作品であり、権威ある文学作品だと言えるでしょう。近親相姦は文学上の大きなテーマの一つです。従って、文学的な見地からは、近親相姦が描かれているからと言って、不健全であるとは言えないことになります。

次に科学的な解説をすると、近親相姦については、医学的、生物学的には問題のないことです。人類は、その歴史の始め、20人~30人の集団で生活していたと考えられています(大塚柳太郎、田中二郎、西田利貞著『人類の生態』など参照)。この様な小集団で繁殖すれば、ほとんど全部近親相姦となります。ということは、人類は、近親相姦により進化した生物であるということになります。実際、近親相姦をやっていて、子孫が絶えたという部族は地球上には存在しません。医学的、生物学的には、近親相姦による遺伝的な問題というのは、取るに足らない問題とされています。

現代においては、近親相姦を嫌う文化は少なくありませんが、その一方で、近親相姦を好ましいものとしてる文化も存在します。近親相姦を嫌うことを人類学では「インセスト・タブー」と言っていますが、インセスト・タブーがどの文化にも存在する普遍的なものであるかどうかは、議論が一致しません。しかし、インセスト・タブーには根拠がないこと、文化によっては、近親相姦をよいものとする場合があることは、注目しておかなくてはいけません。

インセスト・タブーは文化的な好みの問題です。日本文化で言えば、「赤色は女性の色である」とされているのと同じことです。実際に近親相姦が現代でも行われているかどうかということであれば、どこの文化でも近親相姦は行われているということになります。日本であっても、男性が赤色の服を着たり、赤色の車に乗っていることがあるのと同じです。

日本では近親婚が法律で禁止されていますが、近親相姦を嫌うことに科学的な根拠がない以上、近親婚を法律で禁止する科学的な根拠は全くありません。従って、近親婚が法律で認められたとしても、社会に与える悪い影響は何もないでしょう。

心理学的な側面を検討すると、近親関係にある者同士が性的な関心を持つかどうかですが、実際には、そう言うことはあります。児童とされる年齢の女の子が父親や男の兄弟に対して性的関心を持つことは、たまにあることです。逆に、児童の年齢の男の子が母親や女の兄弟に性的な関心を持つこともたまにあります。これは、近親相姦を忌避する文化においても、近親相姦が実際に存在することと一致する事実と言えるでしょう。

話を元に戻して、近親相姦を描く漫画の件ですが、近親相姦がはるか古代から続いていることから考えて、漫画により近親相姦が起きるというのは、あり得ない話になります。近親相姦を描く漫画を読んだとしても、それが原因で近親相姦が起こるということは考えられません。性的な抑圧など、別の要因で近親相姦が起きるか、単に自然な性的欲求で近親相姦が起きると考えるのが普通です。

この様なことから、近親相姦を描く漫画が不健全であるとは全く言えません。文化的に忌避することを描いたら不健全だとするなら、偉大な文学作品のほとんどは文化的に忌避するものだらけであり、太宰治はおろか、夏目漱石の作品すら読めなくなります。近親相姦の様な文化的なものには、目くじらを立てるべきではないということが正しい結論であると言えるでしょう。


参考文献:
大塚柳太郎、田中二郎、西田利貞著『人類の生態』(共立出版、1974年)


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プロフィール

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専攻: 生理学、教育心理学

生理心理学の知見を教育に応用する研究を行っています。

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